六甲嵐さんからのお手紙
千葉県 30代 男性
介護 介護職・在宅
Aさんとは本当に長いお付き合いでした。いつも明るく優しい方でした。
「私は認知症になったらどうなるんですか」と相談された時は私も答えに窮しました。
長く話し合った後「あなたたちがいらっしゃるから、もしもの時も安心ですね。
末永くよろしくお願いします」と最期の話と約束まで交わしました。
いろいろと悲しい事があって1人暮らしを新たに始めたAさん。遠くの施設に入ることもできたのに、
一人で寂しくない環境も選べたのに、一人暮らしを選択されました。
「私の骨はよろしくお願いします」なんて…でも内心とても嬉しかったです。
Aさんに関わらせて頂けることに皆癒されていました。
当時の私は自分が大切な家族を失った頃でした。
その家族にそっくりなAさんに私は影を重ねていたのかもしれません。介護職としてはいけませんね。
その時は気づいていなかったのです。
AさんをケアしていたつもりがAさんの存在に私がケアされていたのです。
そして最期は皆に看られながら旅立たれました。斎場から帰る時涙が止まりませんでした。
大切な家族を二度失ったような気持ちでした。
その翌月、私は介護現場を離れました。それからはAさんのことを忘れて働いていました。
忘れていたけど心のどこかにモヤモヤはあったんです。
今回お手紙を書かせていただく中であなたのことを思い出しました。
改めて「ごめんなさい」と「ありがとうございました」を書かなきゃと思いました。
たくさん寄りかかってごめんなさい。そして支えてくださってありがとうございました。
昨年はまた介護の現場に戻ることができました。
今は自分自身が幸せに生きることも大切に考えるようになりました。
Aさんのおかげだと思っています。本当にありがとうございました。