しほさんからのお手紙
28歳 女性
医療 訪問看護師
ケアレター
「ここの庭きれいなお花が咲くんですよ。見に来てくださいよ。なかなか来てくれないから、約束でも作っておかないとね。」
窓の外を眺めながら ヘルパーさんははにかんで私に声をかけてくれました。
「また見に来ます。約束。」と私も笑いながら返事をしました。
利用者さんは声は出せないけれど 穏やかな顔でそんなやり取りを見ていました。
利用者さんに約束をすることはあっても、ヘルパーさんとこんな可愛い約束をしたのは初めてです。
ただ、 ヘルパーさんのそんな一言でも私にとっては心の潤いになるし、訪問に伺うことを 続ける意味のひとつになっています。
私は訪問看護師をしており、 子供から 100歳超のご長寿さんまで伺わせてもらっています。
その中でヘルパーさんとご一緒してケアをさせてもらうお宅もあり、お互いの強みを活かして、 あるところは分担して、あるところは力を借りて、ケアに携わっています。
訪問看護よりも 長い時間、もっと生活や暮らしに近いところで利用者さんと関わることって、 簡単そうで実はとても難しいのではと思っています。
言いたいことを汲み取ったり、一緒になって苦楽を味わったり、本当にその人の一部のような気持ちになることだって多いはずです。
長時間ケアでの身体と心のお疲れもありつつ、やはりケアや人と人との関係のもたらす何かに惹かれてやりがいを見出して、続けていくことができているのではないでしょうか。
職種は違えど、私もケアの魅力に惹かれている1人です。
同じくケアが好きな人が集まってくる「現場」で、利用者さんはもちろん、ケアワーカーの皆さんにも励まされています。
辛いことも苦しいこともあるし、 泣いちゃうこともあるけれど、ケアを続ける、つなげることにのめり込む自分と同じような人々にもエネルギーをいただく日々です。
「お疲れさま」「ありがとう」「気をつけて」 そんな労りあいの言葉に温かくなり、暑い日も寒い日も自転車をこいでいます。
ヘルパーさんとした、お庭のお花を見る約束を叶えるためにも、今日もケアをつないでいきます。
ケアするあなたに、日々の感謝を込めて。